2014年5月15日木曜日

記事から抜粋。

タイトルを読んで、??と興味が湧いたので、読んだ今日の記事です。
タイトルを理解するとともに、なんか、じーんと感動したので共有。

チキチョーと、一割の羅針盤を見つける男、ヤザワ、だなー。
カッコいい!

下記は記事のコピー。長いですが、よかったら。
多分ライターはファンだなー、熱い気持ちが伝わってくる。


矢沢永吉「方向性を見失いかけていた」 “売れ残り”に見た新たな夢

 矢沢永吉(64)が39年ぶりに結成したロックバンド「Z’s(ゼッツ)」の全国ツアーが北海道からスタートした。北の大地での最終地・釧路での公演後、楽屋でスポニチ本紙インタビューに応じた矢沢は「実は、人生の方向性を見失いかけていた」と明かした。しかし、地方の街を巡るローカルツアーを敢行したことで「俺はまた走れる!」と確信したという。「矢沢がヤザワ」であり続けるために見つけた羅針盤。それはあまりに意外なものだった。


 13日夜の釧路公演直後の楽屋での第一声は「いいね!呼吸がひとつになってきた」。年が3回り近く下の若いバンドメンバーたちが、最初の苫小牧公演と比べ「落ち着いてきた。そうなると目の前だけじゃなく、両側はもちろん、後ろまで見えてくる。野球選手と一緒で、そうなってくると動きが違ってくるんだ」と満足そうにほほ笑んだ。

 8日の苫小牧から函館、帯広と巡り、北海道だけで4カ所で公演。地元のイベンターからは「いまは有名無名どんなバンドも、釧路や帯広にはなかなか来ないのが現状」と言われたという。

 Z’sのツアーは全国13カ所で行われるが、あえて大阪、名古屋などの大都市は外した。青森、山形、佐賀、宮崎などの地方都市が並ぶ。

 「僕だけじゃなく、多くのミュージシャンがローカルに行くより、大都市のでかいホールで格好良くキメるというパターンになっている。でも、それは本当は間違いなんだよ。若き日のヤザワがなぜ全国区になれたのか。それは街から街へ年間120本くらい回っていたからだ。あれを毎年繰り返していたから、全国津々浦々でヤザワのライブなら見てみたいって人が増えていったのよ」

 だからこそ、若い仲間たちと旅をする今回のツアーは「地方」にこだわった。ステージにも、そのスピリッツは表れた。矢沢率いた伝説のバンド「キャロル」の「憎いあの娘」で幕開けし、♪クルマ揺られて今日も街から街へ――の歌詞が印象的な曲「ずっとあの時のまま…」を歌った。

 「きょう釧路のここに着いた時、すぐ思い出したよ。ここ知ってるよ、裏口だろ!とかね。これが42年間走ってきた“道”なんだね。努力あって初めて“道”は開けるんだけど、ただそれ一個だけじゃ続かない。運も必要だ。いろんな要素があって続けられるんだ。僕の場合、喉に一度もポリープができなかったのはラッキーだった」

 矢沢は感慨深げに言うと「実はね。去年くらいから感じていたことがあるんだ」とつぶやいた。どんな成功者でも、人は等しく老い、枯れていく。今年で65歳になる矢沢も、ふと立ち止まった時、これから歩むべき道が見えなくなっていた。

 「実はね、どこに目標をまた定めたらいいのかなって、考える時があったのよ。若い頃は方向性を定めるのは簡単で、成功したいとか、高いところに行きたいとかはっきりしている。でも40年以上やってくると、夢というものも近いとこまで手に入れた。でもその後に俺って何を自分の糧にして、どの方向を見て、自分のケツを叩けるのかなって思ったんだ」

 そこで浮かんだのが、若者とバンドを組む「Z’s」構想であり、21年ぶりに敢行した春のツアーだった。「よし!どうせ行くなら、若い頃のように街から街へのローカルツアーにしようとか考えだしたら楽しくてね。そう思えたことで、あっ!これなら俺また走れるって思ったんだ。ゴリ押しでもいいから、ここに目標を定めようって。それは幾つになっても大事なんじゃないかな」

 実際にツアーを始めてみて、その考えが間違っていなかったことを確信した。「つくづく思うけど不器用なんだね。俺、これしかないんだよ。これしかないことに一時期はこれでいいのかって思ったけど、実はこれ一個あれば十分なんだよ。だから、いまイイッすよ!凄くイイッ!」とうれしそうに笑った。

 頑固な“歌う職人”が42年間全国を回り続けてたどり着いた境地は、どうやら快感でもあるようだ。でもその“快感のツボ”は、記者の想像を超えていた。

 「何がイイかってね。12年ぶり苫小牧、もちろんチケット即完よ!函館も即完!そして帯広9割、きょうの釧路も9割!チキショー、売り切れないんだよぉ~っ」

 何とも言えない表情でもん絶する。悔しいのに笑っている。「イイねえ!これよ、これがイイのよ!」と目尻を下げ、めちゃくちゃうれしそうなのだ。大げさではなく、新しいおもちゃを手に入れた少年のようだ。

 ミュージシャンに限らず、チケットが売り切れずに「これよ!これ!」と歓喜している人はまずいない。そもそも、売り切れなかったことを自分から言い出す人がいない。恐るべし、ヤザワ。実際、客席にいた記者には空席は見当たらなかったため、なおさら驚いた。

 「俺ね、もうやるよ!来年も春やります!」。まだツアーを始めたばかりなのに、2年連続開催の宣言まで飛び出した。

 矢沢が「ヤザワ」であり続けるため、常に熱くなれる投資先ならぬ“闘志先”を探しているのだ。「年末の武道館のチケットはなかなか手に入らないヤザワ。でも釧路は9割。ここなのよ!あと1割売らなきゃならないヤザワがいるのよ。来年は他の行ってない所に行かないといけないから、ちょっと無理だけど、その次また釧路来た時、10割にしたいなぁ」

 矢沢が言うと「売れ残り」という言葉まで“あと1割の羅針盤”として夢を持つから不思議だ。本来はさげすむ言葉であるはずの「成り上がり」を、若者の“夢の体現”という意味に昇華させたパワーは、今も健在なのだ。

 この日のライブではZ’sとしての新曲も披露した。タイトルは「What Do You Want?」。今も夢や欲求に忠実に生きようとする矢沢にピッタリで、その背中を見て成長していく若いメンバーたちにもふさわしい曲。客席にはオールドファン以外に20~30代の男女も多く、矢沢も「若い人が多くてビックリした」という。

 その現象は数字にも出始め、過去の未発表ライブ映像4本を収めたDVDボックス「TREASURE BOX」がオリコン週間ランキングに1位で初登場した。矢沢が映像商品で首位になるのは22年ぶりで、64歳8カ月でのDVD首位獲得は浜田省吾の59歳9カ月を上回る歴代最年長記録。昨年発売したCD「ALL TIME BEST ALBUM」も25万枚を突破し、本人も「いま明らかにヤザワ、きてます」と感じている。

 そして、4年ぶりに「夏フェスに出る」という。「まだ発表されていないから詳細は言えないけど、あの炎天下、65歳になるヤザワが出ます!僕の過去の映像を見て、オンタイムで見たいと思ってくれている若い人たちがいる。そこに真正面から斬り込んでいきます。そこんとこ、ヨロシク!」

 常に「自分は何者なのか」という命題に向き合い、決して群れずに自力で道を切り開く孤高な生き方を貫いてきた永ちゃん。だからこそ「矢沢はヤザワ」であり続け、ロック界の生きる伝説、レジェンドなのだろう。

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